雪の断章―情熱

★★★☆☆:1985年 日本
雪の断章-情熱- [VHS]

  • 製作:伊地智啓 / 富山省吾
  • 監督:相米慎二
  • 助監督:米田興弘
  • 脚本:田中陽造
  • 原作:佐々木丸美
  • 撮影:五十畑幸勇
  • 音楽:ライト・ハウス・プロジェクト
  • 美術:小川富美夫
  • 録音:斉藤禎一
  • 照明:熊谷秀夫
  • 編集:池田美千子

出演:斉藤由貴, 榎木孝明, 岡本舞, 矢代朝子, 藤本恭子, 中里真美, 伊藤公子, 東静子, 高山千草, 中真千子, レオナルド熊, 伊達三郎, 斎藤康彦, 酒井敏也, 加藤賢崇, 森英治, 大矢兼臣, 寺田農, 伊武雅刀, 塩沢とき, 河内桃子, 世良公則,その他

 「あしながおじさん」か「源氏物語」か+復讐+推理劇 with アイドル斉藤由貴というわけで、相米監督の映画に出てくる当時のトップアイドルたちはみんな相米色をしていることを確認しながら、 丹念に育て上げた紫の上が、難しい年頃に突入したのを目の当たりにする世良公則榎木孝明の2人の光源氏の煩悶を観る。おまけに煩わしい「世間の目」カネさん(河内桃子)。
 見かけ上透明な関係性を成り立たせていた場、ガラスのようなそれが偶発的に叩きつけられる疑念によって割れて崩れ去った後、互いに言葉が使えなくなってしまう苦しみは、台風クラブの中では、「ただいまー/おかえりなさい」に集約されていたのだが、この映画の中でも、黒い波に打たれる世良、思い出深い服をハサミで切り裂く榎木という形で現前する。
 こういった「でぃすこみ状態」には、当然陥りたくはないし、普段から極力避けているつもりなのだが、いざこうして見せられると、やはり痛々しくリアルで切実なものだと思う。「でぃすこみ状態」こそ人間関係の基本だなどと、あえて言ってみる。だから道化師のマスコットが常に必要なのかもしれない。